2018
問1
社会保障は「子どもー大人ー高齢者」というライフサイクルを座標軸とした合理的な体系を考えるべきである。高齢者と子供は税を中心に、現役世代については保険を中心とした税と保険の役割分担が明確化され、子どもには保育と教育の保証、高齢者には医療・介護を含めた基礎的な生活保障を図る。そして、現役世代には保険制度の活用により、拠出と給付の均衡をとるべきである。(174字)
問2
すべての個人が生まれた時点で共通のスタートラインに立っているという前提は瓦解しているため、それに応じた積極的な支援として「個人の機会の平等」の保障が求められる。筆者の言う「個人の機会の平等」とは、人間が親などから受け継ぐものに差があることを認識したうえで、その差の是正のための社会的対応なしには達成されない実質的な平等を言う。
「個人の機会の平等」が揺らいでいる問題として、ジェンダー不平等が挙げられる。男性と女性は対等な立場であるように思えるが、日本社会の現状として、ジェンダー格差が大きい。古来より女性は家を支える者として扱われてきたが、今でも女性に学は必要ないとして大学進学率は依然として低く、それにより女性の企業における役職ポストや国会議員、裁判官の数は諸外国に比べ非常に少なくなっている。女性の立場で政治、経済、司法を主導する者がいないため、それが循環した結果としてさらに女性の政治的立場を低めたまま問題は解消されず、社会全体の意識としてジェンダー格差が生じている要因になっているのである。女性が育児により離職するものだからとして会社に採用されないこと、さらには大学も点数操作により不合格とされる問題が実際に生じていることから、女性として生まれたゆえに、女性は将来の選択の自由を奪われ、一方的に庇護されるものとして社会的地位の確立が困難となっている。
こうした機会の不平等を是正する効果が期待される社会的対応が、女性の役職ポスト、国会議員、裁判官など社会において国家を動かす重要な役割を果たす役職について、女性枠を設けることである。社会全体の意識を変えるならば、まずは女性の立場に立って判断する者が増えなければならない。政治・経済面においても、司法面においても、女性として活躍する者がいることで、日本社会のジェンダー格差は解消され、個人の機会の平等を実質的に保障することが可能になる。(792字)
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