名古屋大学法学部小論文2021 解答例を書いてみました!
参考にしてみてください!
出題内容
今回は、斎藤純一「不平等を考える 政治理論入門」ちくま新書、2017年からの出題でした。
大問数は2つ。社会科学系の文章が出ることが多く、今回もそうでした。
今回のテーマは、「市民館の平等な関係をいかにして築くことができるか」であり、わかり易かったのではないでしょうか。
平等については、機会の平等、結果の平等、形式的平等、実質的平等という言葉があり、それをわかっていると課題文が理解しやすいことが多いので、調べて覚えておきましょう。
文章の前半では、平等と不平等について丁寧に説明されていて、最後の方で「運の平等」という聞き慣れない言葉が使われています。
現代文も同じですが、「覚えなければいけない言葉」と「本文内容から推測する言葉」の二種類が出てきます。これらをちゃんと区別した上で読んでいく必要があります。それが区別できるようにするには、まずは自分の語彙を増やすことが先決です。
あと、名古屋大学の小論文だと、よく知らない固有名詞(名前とか)が使われることが多いので、そうした主題に関係ない部分をスルーできる能力も必要でしょう。
問題解説
問1
「市民間の平等な関係」がなぜ必要で、どのような場合に成り立つのか?という問いでした。
基本的には、本文の該当箇所をまとめれば大丈夫でしょう。
問2
いくつか書くことを指定されたことがあります。
具体例の提示、不平等の具体例の是正が「運の平等主義」の考え方に基づいてどのように正当化できるか、またその正当化はどのような難点を伴うか、である。
こちらはちょっと難しいですね。
課題文をよく読んで、書いてみましょう!
解答例
ここから
↓
問1
「市民間の平等な関係」は日本社会では市民間の対等な関係を保障する主要な制度のもとで、制度が市民間の対等な関係を保障せず、損なうような仕方で作用する事態すら見出されるので、有利ー不利を固定化し、不利な立場にある人々が他社の恣意に抗うために必要となる。
この関係は、一方が他方を恣意的に制御できるような優位・劣位の関係が市民の間に生じていないときに成り立つ。
そして、政治的立場のみならず所得や富の格差で規定される立場によって、それぞれの市民が対等な市民として相互に尊重されるときに得られる「自尊」の感情を持つことを可能にするような立場を保障するようなものでなければならない。(284字)
問2
日本社会においては、いまだ大学の女性進学率は低く、男女での同じ労働条件や雇用均等が徹底されていないなど、ジェンダー不平等が生じている。これは日本の国会議員や裁判官など国家の中枢で働く者のほとんどが男性であり、彼らの女性への不理解と無意識の蔑視により、女性の生理用品が軽減税率の対象とならないなど、司法や政治においても男性優遇の傾向が見られ、もって社会の全体意識が女性を差別する傾向にあることに起因すると考えられる。
「運の平等社会」の考え方によれば、不平等は個人によって成業できない場合は正当化できず、自らが選択した結果として不平等が生じた場合はその不平等は正当化できる。
しかし、日本社会の男女のジェンダー格差については、女性として生まれるかは制御できず、自発的な選択の余地はない。したがって、このような格差を放置することは正当化できるものではない。
では、どうすればよいのか。
女性として生まれたために不運を被っている人に対し、社会側が「補償」を与えることが考えられる。国会議員や裁判官、役職ポストの男女比については、積極的に女性の枠を確保し、男女同数へ近づけることが必要である。
もっとも、この正当化について男性側から、女性枠を確保することは能力のある男性の枠が少なくなることにつながり、かえって男女不平等が生じるといった批判が生じることも考えられる。また、格差を埋め合わせる保証があることによってかえって優位ー劣位という集団の序列が固定化されるという困難も生じる。
しかし、日本社会の根強いジェンダー格差を解消するためには、まずは国家の中枢組織の女性枠を増やし、政治や司法を女性の立場に立って判断する者を増やさなければ、社会と人々の意識は変えられない。よってこの困難は乗り越えなければならず、問題とならないと考える。(756字)
どうでしたか?
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